孫子兵法の使い方と魅力【活用のコツ】

孫子の兵法という書物は「成功をおさめるためのコツ」が書かれています。2000年以上の昔に作られたといわれる書物なのですが、その内容はとてもまとまりが良くてシンプルながら完成度も高く、その考え方は現代でも通用するという名作です。成功の秘訣を古典に学ぼうと思ったらまず「孫子兵法」が思い浮かばれるほどポピュラーな書物で、その言葉やコツは様々な分野で引用されるほどです。

この「成功をおさめるためのコツ」という実用的な部分と、古典でありながら現代でも通用する「不朽の名作」という汎用性と完成度の高さが孫子兵法の大きな魅力なのであります。

そんな孫子の兵法の効率の良い「使い方」と「魅力」についてもう少し深く解説していきます。

※孫子兵法の使い方

次のような視点で孫子を読んでいくと効率よく成功のためのヒントが得られます。また、はじめて孫子の兵法に触れる初心者の方も、つぎのことを頭において孫子を読めば、内容が掴みやすくなります。

【孫子】はヒントを得るための道具

孫子から学べる成功の方程式は次のようなものです。

上手く準備する + 上手く行動する = 成功(勝利・不敗)

孫子内でいくつか例をあげながら準備と行動についてのコツを述べているのですが、孫子兵法は「軍事・国政」がテーマです。それ以外の分野(ビジネス・スポーツなどなど)で活用するならば、活用したい分野に孫子で得た成功ヒントを変換して適応しないとなりません。

つまり軍事以外で【成功ヒント(軍事)】を【成功ヒント(他分野)】として活用するためには、さらに「活用分野に適応」という1ステップを踏む必要があります。

孫子ヒント → 活用分野に適応 = 成功(勝利・不敗)

これは活用したい分野について理解が無いとできない作業です。つまり活用したい分野についての理解が無ければ孫子ヒントを活用することができないのです。

孫子ヒント → 本質・エッセンスを抽出 = 活用分野に活用しやすくなる

活用分野の理解は各人の努力とセンスによる物なので解説はできませんが、孫子ヒントを活用分野に変換するための方法はとても簡単でシンプルです。孫子ヒントから「本質・エッセンスを抽出」すると他分野に適応させやすくなります。

「本質・エッセンスを抽出」するというのは、言い換えれば「抽象的・汎用的」にすることでもあります。このことについて次項でもう少し詳しく触れてみます。

【孫子】からエッセンスを抽出(抽象化)

孫子兵法からヒントのエッセンスを抽出(抽象化)するというのは、たとえば次のような作業になります。

兵は詭道なり(意味:軍事はだます・いつわる・かくす・だしぬく等です)

この言葉の兵(軍事)を、ぼかした言い方に換えれば競い合いということができそうです。そこで「競いごと」と1ステップ抽象化してみます。

競いごとは詭道なり(意味:競いごとはだます・いつわる・かくす・だしぬく等です)

「競いごと」とすれば軍事のほかビジネス・スポーツ・競技なども範疇に入ってきそうですね。変換後も内容におかしいところはありません。このように1ステップ抽象化することでヒントの裾野をひろげることができました。これが抽象化の効果です。

もうひとつ例を挙げてみます。

凡用兵之法、馳車千駟、革車千乘、帶甲十萬。千里饋糧、則内外之費、賓客之用、膠漆之材、車甲之奉、日費千金、然後十萬之師舉矣。
およそ用兵というのは、軽戦車1000輌、装甲車1000輌、武具100000を1000里はなれたところに運べば、内政外征の費用、接待交際費、武具の修理材、公用車の費用など一日に1000金を消費して、そうしてようやく100000の軍を運用することができるのです。

このようにバリバリ当時の軍事についての具体例が挙げられている箇所があります。これについては孫子兵法の本文の前後を考慮して「軍費は軽くない」ということを具体例で述べているのだと解釈ができます。そのように捉えた場合、それぞれの数量は、活用の際に変換の必要が無いものになります。10万の軍というのも大軍転じて「おおごと」としてみます。そこで次のように簡略化・抽象化ができます。

凡用兵之法、馳車千駟、革車千乘、帶甲十萬。千里饋糧、則内外之費、賓客之用、膠漆之材、車甲之奉、日費千金、然後十萬之師舉矣。
いざ大きい事をするときは、色んなとこにいっぱいお金をかけて、ようやく動くことができるのです。

具体数が挙げられている箇所については、このように変換すると意図が理解しやすいですし、他分野に適応させて考えやすくなります。

このように簡略化・抽象化していくと孫子兵法がとてもシンプルで理解しやすいものに見えてくると思います。

【孫子】を読んでも成功は自分次第

上手く準備する + 上手く行動する = 成功(勝利・不敗)

孫子ヒント → 活用分野に適応 = 成功(勝利・不敗)

孫子兵法の内容は簡単に理解できても、それを活用するとなると難しいものです。その難しさとは「成功のヒント」は理解できても実際に「上手く使う」には「自分の能力」を上げなくてはならない所にあります。

天賦の才能でもなければ、やはりコツコツ活用先の分野について理解を深めなければ、上手に「活用」はできないのです。

関連:孫子兵法(活用と教養のためのヒント)シリーズ – 抽象化も重視した孫子解説です。

※孫子兵法の魅力

孫子兵法は「成功をおさめるためのコツ」が書かれた書物ですが、成功をおさめる目的以外で読んでも魅力のある本です。言葉遣いや熟語に着目していく文学的楽しみ方や、具体例や固有名から当時の風土を知る歴史的楽しみ方、言葉の意味や正確さを多くの文献から精査していく考証的楽しみ方などができます。

当サイトでは、活用のための抽象化と、文学・歴史・考証的な補足をつけた孫子解説を掲載中です。

関連:孫子兵法(活用と教養のためのヒント)シリーズ