漢文をよむ基本がわかるオススメ本「漢文訓読入門」の魅力を紹介

今回は明治書院「漢文訓読入門」の魅力をご紹介します。

こちらの本は「高校生や大学生が漢文訓読の基礎を身につけられる本」を目的としたものだと序文で触れられていますが、大人のための入門書ブランクのある人の再確認としても読むことができる内容になっています。

いまから漢文を日本語に直して読みたい、漢文を翻訳したい、あるいは漢文の書き下しがしたいんだけど、何かちゃんとした入門書が一冊欲しい、という方がいらっしゃれば先ずこの本をオススメしたいです。

「漢文訓読入門」を入口や再確認のための書とすることで、流れ作業のような学校の授業では学べなかった、しっかりとした漢文訓読の基礎概念や基礎技術を理解することができるガイド本です。要点がギュッとまとめられていて、分厚くないので爽やかにサッと読むことができます。

漢文訓読入門:内容と要素の紹介

本と栞の挿絵

「漢文訓読入門」は、漢文とは何か?訓読とは何か?というようなゼロからの解説にはじまり、文法解説、参考書の紹介、そして練習問題に流れていく構成になっています。

この書のそれぞれの要素の魅力について細かく触れていこうと思います。

表紙の裏:翻訳フロー

まず表紙を1枚ピラっと開きますと、原文(白文)~現代語訳にいたるまでの翻訳作業の流れを俯瞰した図を見ることができます。

この翻訳の流れを示した図を、なんとなくボンヤリ見ているだけでも原文・点付け・カナ付け・書き下し・現代語訳のそれぞれの立ち位置を理解することができます。

教材や書籍にするのでなければ、これら全ての手順をかたちに示す必要は無いわけでありますが、脳内で翻訳していく作業はまさしくこの流れの通りの思考処理をすることになりますので、やはりそれぞれの要素について理解しておくことは大切です。

第一部:訓読の基礎

訓読というのは、漢文を日本語に近づけるための翻訳技術のひとつです。

「漢文訓読入門」ではこの翻訳技術の歴史的背景・概要・概念・基礎知識・基本ルール・基礎テクニックを知る事ができます。

背景や概念の解説項は、訓読理解に効くだけでなく雑学としても興味深く読むことができます。基本ルールや基礎テクニックの解説項では「音読みと訓読みで迷ったら音読みが無難」といったような実践的なものも含まれていますので、内容理解によく効きます。

また「書き下し文だけでは原文の内容を完全に解釈できない」といったような本格的な注意点についても触れられていますので、しっかり理解することで漢文理解に対する骨太な骨格を形成することができます。

第一部の第16講:漢和辞典と参考書

第16講の漢和辞典と参考書の項目では、訓読を強力にサポートする本の紹介がされています。

漢文訓読に限らず外国語の翻訳作業というものは、ルールの理解とおなじくらい文字の意味を理解することが大切です。その意味と使い方を理解するためには、辞書と参考書が欠かせません。

どの本を選べば良いのかということについては、「漢文訓読入門」で紹介された本の中から選べば間違いがありません。私も同じ書を所持して参考にしておりますが、有るのと無いのとでは作業効率が全く異なってきます。

第二部の第17講:訓読の要領

訓読は、一定の範囲内でなら表現の自由が許容されます。その範囲はいったいどの位の範囲なのかという疑問について、「漢文訓読入門」では具体例をあげながら一般的な注意点や実践的なテクニックが示されています。見落としやすい注意点もフォローされているので、入門だけでなく再確認にもよく効きます。

この許容範囲を理解することで、一定の範囲内で自由に遊びながら、美しい訓読をキープしやすくなります。

第二部:応用練習

覚えたルールをどのように使うか、ということについて「漢文訓読入門」では練習問題が付いています。第二部の問題では、基本的な文法パターンを覚えることができます。

ここで出題される問題は、日本語としても馴染み深いワードや、どこかで聞いたことのある漢文も多いので、比較的スラスラ解くことができる爽やかな問題です。

第三部:発展練習

この第三部では長めの文章の実践問題が登場します。これらの問題は基本パターンを複合的に使いながら解く事になりますので、かなりの実践感覚を磨くことができます。

単純に読むだけなら、この段階までの技術でどんどん漢文にチャレンジしていくことができます。

第三部の第26講から:復文の要領

しめは復文です。復文というのは文を復す、つまり訓読された文章を原文にもどすことを指しています。

これが大変に難しい作業でありまして、訓読についてひと通りの理解がなければできない技術です。逆に言えばこの作業がスラスラできるのならば、すでに訓読技術が高いレベルまで磨かれていることだと言えます。

「漢文訓読入門」では、この復文の作業手順とコツ、または注意点などが示されていますので、効率よく鍛錬することができます。

この段階まで理解が進めば初級・中級レベルは卒業。漢文に対する恐怖心のようなものは消え去り、解説書もないようなマニアックで難しい漢文を目の前にして、まるで上質なパズルゲームを解いて行くかのような楽しい感覚が湧き出してきます。

まとめ

うさぎが本を読んでいる挿絵

このように総合的・体系的に漢文の理解に必要な要点がまとめられ、繰り返し読んで理解すればゼロから高いレベルにまで自然と到達できる内容になっています。

分厚くないぶん繰り返し読むのに苦労しないページ数であるため、そういう意味でも入門書としてふさわしいガイド本であるとオススメできます。

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