瓜虀:瓜の漬物の炒めもの《中饋録》訳注05

中饋録

※ このページは《中饋録》瓜虀の原文、書き下し、注釈、現代語訳、現代的レシピを掲載したものです。

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【レシピ】瓜の漬物の炒めもの

中華鍋で炒め物をしているイメージとパンダの料理人

中饋録(ちゅうきろく)》にある漬物の炒め料理のレシピを紹介します。(うり)・野菜・お肉の炒め物ということで、青椒肉絲(チンジャオロース)や、ゴーヤチャンプルーのようなイメージの料理です。

じゅんびするもの
  • 瓜の漬物・生姜・ねぎ・干しタケノコかマコモ・ほしエビ・鶏のムネ肉:分量はそれぞれ同じくらい
  • 炒め油:サラダ油やごま油や香味油などお好みで
  • 炒めるための鍋・パン
  • お料理スタート
  • STEP.1
    細切り
    肉や野菜の具材を食べやすく、炒めやすいくらいの細さに切る。
  • STEP.2
    炒める
    鍋に油をひいて炒める。(鶏肉は生焼けにならないように注意)
  • 完成

【原文・白文】《中饋録》瓜虀

呉氏《中饋録》脯鮓

瓜虀

 説郛の原文 

醬瓜生薑葱白淡笋乾或茭白鰕米雞胸肉各等分切作長條絲兒香油炒過供之

 古今図書集成の原文 

醬瓜生薑蔥白淡筍乾或茭白鰕米雞胸肉各等分切作長條絲兒香油炒過供之

 注釈 明《説郛》巻九十五。清《古今図書集成》経済彙編、食貨典、飲食部、彙考三。に《中饋録》収録。

書き下し・注釈

醬瓜、生薑(しょうが)葱白(そうはく)、淡笋乾(ある)いは茭白、鰕米、(とり)の胸肉、各等分、長き絲兒の條に切るを作り、香油の炒過とし、之を供す。

注釈

瓜虀=虀は膾(なます)、和え物のこと。瓜虀は瓜になにかを和えたもの。/後漢・劉熙《釋名》→虀、濟也。《説文解字》→濟、~又膾酢也。

醬瓜=みそ系、あるいは塩系の調味料で漬けた瓜と解釈。醬は麹と食塩を使用した発酵調味料・ミソ・しおからと解釈できます。《説文解字》を引いた場合は醢(しおづけの肉・酢づけの肉など)という解釈もできます。醬と醢という言葉は、人や書、また時代によって解釈にばらつきのあるワードで、探ってみると深い言葉です。/《説文解字》→醬、醢也。《説文解字》→醢、肉醬也。

葱白=そうはく。いわゆるネギのこと。生薬としても広く用いられ、《本草網目》でも葱白(蔥白)の名で数多く登場し、幅広い薬効があるとされる植物です。

淡笋乾=干したタケノコのこと。《本草網目》菜部第二十七巻・竹笋(竹筍)の項目で引用する《東観漢記》では、苞につつまれた筍のことだとして、淡く乾したタケノコうんぬんという記述があります。/《東観漢記》→謂之苞筍并可鮮食爲珍品其他則南人淡乾者爲玉版筍明筍火筍(後略)

茭白=マコモの新芽。食感はタケノコやヤングコーンのような、シナシナ&シャキっと系なのでタケノコの代わりとしてつかえます。/《説文解字》→茭、乾芻。《説文解字》→芻、刈竹也。

鰕米=干したエビのこと。たとえば《本草網目》ではエビの殻をとって曝して蒸発させたものを鰕米と呼ぶ、という旨の記述があります。曝は暴・晞に通じ、晞は乾すという意味があります。/《説文解字》→鰕、魵也。《説文解字》→魵、魚名。《急就篇》三巻・顔帰古注→鰕謂今之海鰕堪為鮓脯及所呼鰕米者。《本草網目》鱗四・鰕米→凡鰕之大者蒸曝去壳謂之鰕米。《集韻》→曝、~俗暴字。《説文解字》→暴、晞也。《説文解字》→晞、乾也。

絲兒の條=絲兒(絲児)はカイコ(蠶・蚕)のこと。條は糸。絹糸。糸の様に切るということは「細切り」のことを指していると解釈できます。細切りにすることで炒め作業がしやすく、オイルもからませやすくなります。青椒肉絲(チンジャオロウスー)の絲も「細切り」という意味です。/《説文解字》→絲、蠶所吐也。

香油=一般的には香水のようなイメージですが、ここでは香味油・香辛油と解釈します。

炒過=チャーコー。炒め処理したもの、炒め物、または炒めの経過、炒めること。

之を供す=これを提供する。お出しする。

現代語訳

みそ等に漬けた瓜・生姜・ねぎ・干しタケノコかマコモの新芽・ほしエビ・ニワトリのムネ肉を、それぞれ同じくらいの量を用意し、そして細切りにします。それらを香味油で炒め、客にお出しします。

解説と考察

トータルでみてみると、そのまんま肉と野菜の炒め物です。瓜と野菜を炒める料理は、現代の日本でもポピュラーなレシピで、ここに肉を加えると青椒肉絲(チンジャオロウスー)やゴーヤチャンプルーのようになります。

しなしなした漬物を炒め物にするという料理は、言葉にすると美味しくなさそうに聞こえますが、実際は相性が良く、こってりコリコリ美味しくいただくことができる料理です。

材料の方に目を向けてみると、しょうが・ねぎ・たけのこ・新芽・ほしえび等、しゃきしゃき系の歯ごたえの具材が多いですね。ショウガ・ねぎ・エビで味がつくので、炒め油はあっさり系の物を使用してもOKです。

野菜だけでなく鶏のムネ肉もありますので、食事の満足感もあります。鶏肉は生焼けにならない様に、しっかり火を通すことは言うまでもありません。

香味油は、ノーマルに行くならサラダ油、風味をつけるならオリーブ油・ごま油などを使用するのが良さそうです。グッと辛くしたいならスパイス入りの国外系の香味油を使用すると、いい感じに発汗します。

ノーマルなオイルしかないけど辛味がほしいときには、ちょっとだけ香味ペーストを加えるという手もあります。香味ペーストの代わりにバターを加えると、ふんわり甘味を帯びた味わいになります。

分量としては、切って炒めるだけの調理ですし、味付けもしょうがとネギでベースができあがっていますので、テキトーにやっても焦がしたりしなければだいたい美味しい炒め物として成立します。

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