算條巴子:細切り燻製ポークジャーキー《中饋録》訳注06

※ このページは《中饋録》算條巴子の原文、書き下し、注釈、現代語訳、現代的レシピを掲載したものです。

【レシピ】細切り燻製ポークジャーキー

中饋録(ちゅうきろく) 》にある肉の燻製レシピを紹介します。蒸し時間については原文では触れられていませんが、現代の一般的な燻製調理法を参考にして調理時間を仮定してみました。(簡易的な燻製法なので保存には向きません)

じゅんびするもの
  • 豚肉:お好みの量
  • 砂糖と花椒やショウガやカルダモンなど、お好みの調味料:適量
  • 蒸し器か燻製器:燻製器はスモークチップを使ってもOK

★手順1:肉を10cmくらいの細い棒状に切り分ける(拍子木切り)

★手順2:切った肉に調味料を馴染ませる(擦り込んでもOK)

★手順3:肉を干して30分~1時間ほど乾かす(クッキングペーパで包んだり、扇風機で送風すると効果的に水気を飛ばせます)

★手順4:蒸し器80℃くらいの温度で20分~1時間ほど燻す(燻製器ではスモークチップを利用してもOK)

★手順5:ほどよく水気を含んだジューシーなジャーキーのできあがり。

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【原文・白文】《中饋録》算條巴子

呉氏《中饋録》脯鮓

算條巴子

 説郛の原文 

猪肉精肥各另切作三寸長各如算子様以砂糖花椒末宿砂末調和得所拌勻晒乾蒸熟

 古今図書集成の原文 

(説郛本とおなじ)

 注釈 明《説郛》巻九十五。清《古今図書集成》経済彙編、食貨典、飲食部、彙考三。に《中饋録》収録。

書き下し・注釈

猪肉の精肥、(おの) () けること三寸長に切るを() し、各に(かたち) すること 算子(さんぎ) の如くす。以て砂糖、花椒末、宿砂末の調和する所を得んと勻く拌し、乾し晒して蒸熟す。

注釈

算條巴子=さんじょうはし。算は算木、條は糸(絹糸)、巴子は蟲のような形のことをさしています。絹糸の蟲というのは蚕のことを指していると解釈でき、瓜虀の注釈で述べたように 青椒肉絲(チンジャオロウスー) の細切り肉がイメージできます。ここではそのように肉を細長くした形をさしています。/《説文解字》→巴、蟲也。

猪肉=いのししの肉、ブタ系の肉。

精肥=精肉と脂身。精は選り分けること。ここでは食用に使える精肉の部分のこと、皮などを外した肉の部分を指します。肥は余った肉の部分、脂身のこと。/《説文解字》→精、擇也。《説文解字》→擇、柬を選ぶ也。《説文解字》→肥、多肉也。

各に另ける=おのにわける。それぞれ別々にする。ここでは精肉と脂身を別々に、という意味。

三寸長=三寸の長さ。

=かたち。かたちづくる。/《廣韻》→样、作様。

算子=算木。細い棒。計算、作戦を立てるとき、占卜を行う時などにつかう、茹でる前のパスタみたいな棒。

花椒末=カショウ、サンショウの粉末。日本産の山椒とは味が微妙に異なる(花椒末の注釈)。香辛料。

宿砂末=シュクシャの粉末、縮砂とも。シャニン、砂仁と同じ。ショウガ科のアモムム属。(砂仁の注釈)。香辛料。

調和する所を得んと=いい感じになるように。お好みの形にあわせて。

勻く拌し=ひとしく混ぜること。よく混ぜること。勻は均に通じます。

蒸熟=煮て蒸すこと。加熱して蒸すこと。熟は煮ること。/《説文解字》→熟、食を() る也。

現代語訳

猪肉の精肉と脂身をそれぞれ三寸ほどの長さに切り分け、算木のように細くします。それに砂糖、花椒末、宿砂末をお好みの分量でまぜあわせ、乾かした後に蒸します。

解説と考察

わざわざ肉を乾かしたあとに蒸していることから、この料理は燻製・ジャーキーのようなものを作っていることがわかります。

肉を細切りにするメリットは、ずばり乾燥させやすい点にあります。こまかくすれば空気に触れる面が多くなりますし、体積が小さいので直ぐに水気が飛びやすいのです。

調味料に砂糖を使うメリットは、蒸したとき・燻した時に色ツヤが良くなるという点があります。燻製にする場合はスモークチップ一握りに対し、大さじ1~2杯の砂糖をつかうと香りと色ツヤが良くなると言われています。

参照 お砂糖の実力|クルルマークのお砂糖 伊藤忠製糖

蒸しの工程について。単純に水蒸気で蒸した場合は、純粋に擦り込んだ調味料が味付けのメイン要素になります。ここで燻製器とスモークチップをつかえば現代的な燻製料理になり、チップの風味が肉にプラスされることになります。

蒸し時間に関して触れていないのは、どのような時間でもOKということでしょうか。現代的な解釈で言えば、単純に短時間蒸した場合は保存に向きません。これは燻製の場合もおなじです。ただし短時間には、肉に水分が残ってジューシーな味わいになるというメリットがあります。

長時間加熱した場合は保存に有利になりますが、肉は固くなります。

使用する蒸し器について。単純な鉄・ステンレス製などの蒸し器・燻製器をつかうのであればなんの問題もありません。フライパンにアルミホイル・鉄網などを敷いて加熱するような場合は注意が必要です。フッ素コートなどの加工を施されたフライパンは空焚き状態になり、有害物質が出る可能性があるので、取り扱いには注意が必要です。

瓜虀:瓜の漬物の炒めもの《中饋録》訳注05
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