孫子兵法・本当に忙しい人向けポイント現代語訳まとめ

今回は、比喩でも何でもなく、ホントに忙しくて時間がないんだ!という方向けの孫子兵法まとめをご用意いたしました。時間がない方は、この前置き文もスッ飛ばして本文へお進みください。ざっと5、6分くらいで全編の雰囲気がつかめます。

孫子兵法は奥深い古典ですし、本当は原文からじっくりしっぽり、ねぶるように読んでいただきたいところですが、時間がないのですから仕方ありません。小難しい講釈、気難しいお作法、そんなものは一切無しで、無料で出し惜しむことなく、わかりやすいポイントだけを抜き出して紹介していきます。

さっと読み流すだけで、孫子兵法がどんな雰囲気の本なのか、ざっくり理解できます。忙しい方だけでなく、本式に読む前に雰囲気をプレビューしておきたい時などにも効きます。

※ ポイント要約という性質上、原文を正確に伝えることを意図したものではありません。全体の雰囲気・要点を伝えることだけに特化したコンテンツです。

関連 孫子全訳

関連 孫子原文の解説

孫子のポイント現代語訳:読み方と凡例

どうしようもなく時間がない方は、篇名の(カッコ内)だけをチェックして雰囲気を掴むことができます。つまり目次だけで事足ります。

ちょっとくらいなら時間に余裕が有るという方は、赤文字部分をお読みください。

■凡例

  • 原文抜粋
    名言
    ポイント要約
  • 底本:篇名は武經本、原文は十一家注本の孫子を参照。

一、始計篇(やる前に見通しをつけよう)

  • 孫子曰兵者國之大事~
    兵は国の大事
    大きい行動はリスクも大きい。よく考えよう。
  • 故經之以五事~
    五事を以て之を経る
    よく考えるとは、よく状況を調べて比較検討すること。これを怠るのでは成功できません。
  • 故校之以計而索其情~
    計をもってして其の情を索む
    あらゆる角度から比較検討して勝負の見通しをつけます。
  • 計利以聽乃爲之勢以佐其外~
    其の外を佐く
    計画・見通しがつけばその時点で大きな力をもつことになります。その力を状況に応じて臨機応変につかうことができれば、有利に動くことができます。
  • 兵者詭道也~
    兵は詭道なり
    勝負事は詭道(だます・いつわる・かくす・だしぬく等)です。
  • 未戰而廟算不勝者得算少也~
    算多ければ勝ち、算少なければ勝たず
    計画段階でよい条件がそろっていれば、やる前に成功を見通すことが出来ます。

二、作戦篇(やるからには利益をつかもう)

  • 故兵聞拙速未睹巧之久也~
    兵は拙速を聞くも、未だ巧久を睹ざるなり
    完全をもとめても行動が長引けば疲弊します。状況をよく見た行動が大切です。この注意点を理解していなければ、戦いの中で利益を引き出すことはできません。
  • 善用兵者役不再籍糧不三載~
    役を再籍せず、糧を三載せず
    上手い人は、行動によって生じる様々な負担を把握して、それらを軽減するための工夫をこらすものです。
  • ~是謂勝敵而益強。
    敵に勝ちて強を益す
    勝ちながら敵を吸収して強さを増していきます。
  • 故兵貴勝不貴久~
    兵は勝を貴び、久を貴ばず
    勝ちを優先し、いたづらに時間をかけることを優先しないものです。

三、謀攻篇(やる前に勝とう・やる前の注意点)

  • 是故百戰百勝非善之善者也~
    百戦百勝は善の善なる者に非ず
    被害を出さないのが最上で、撃破するのは二の次です。戦って勝つよりも戦わずして勝つことが最上です。
  • 故上兵伐謀~
    上兵は謀を伐つ
    敵と直接あたらない内に、少ない労力で勝つのが最善です。行動をおこせば疲れるし、どうしても被害は出てしまうものです。
  • ~故小敵之堅大敵之擒也。
    小敵の堅は、大敵の擒なり
    上手い行動とは、優勢なら包囲・攻め、劣勢ならば避けるものです。無茶をしても失敗するだけです。
  • ~是謂亂軍引勝。
    軍を乱して勝を引く
    有能な部下にプロジェクトを任せたら、君主は口出ししないことです。口を出せばペースを乱すことになり、結果として勝ちを捨てることになります。
  • 故曰知彼知己者百戰不殆~
    彼を知り己を知らば、百戦して殆うからず
    戦機を知り、用兵を知り、思いを同じくし、備え整え、君が優将の邪魔をしなければ百戦して失敗は無し。

四、軍形篇(圧倒的なパワーで押しつぶそう)

  • 故曰勝可知而不可爲~
    勝は知るべし、而して為すべからず
    守りの成功は見通せても、攻めの成功は相手の動きがあることなので見通すことは難しい。間違いなく勝つためには、余りある圧倒的な力を用意して攻めるものです。
  • 是故勝兵先勝而後求戰~
    勝兵は先ず勝ちて而る後に勝を求む
    よい勝利とは安定した勝ちです。よい勝利は準備段階で勝ちを決めてから戦いを始めるものです。
  • 故勝兵若以鎰稱銖~
    勝兵は鎰を以て銖を稱るが若し
    安定した勝ちをおさめるには、圧倒的な力で攻めることです。

五、兵勢篇(圧倒的なパワーで楽に行こう)

  • 孫子曰凡治衆如治寡~
    衆を治むること寡を治むるが如く
    うまく事が進んでいる裏には、かならず裏付けや理由が有るのです。
  • 奇正之變不可勝窮也~
    奇正の変、勝げて窮む可からざるなり
    その仕組みはシンプルですが、それを知り尽くすことはできないほど奥深いものです。
  • 故善戰者求之於勢不責於人~
    善く戦う者、これを勢に求めて人に責せず
    上手いやり方は個々人の能力に頼ることなく、チーム全体の勢い・態勢を大切にし、ためた勢いは瞬発力を発揮させてつかいます。

六、虚実篇(充実のパワーで弱点を攻めよう)

  • 故善戰者致人而不致於人~
    人を致して人に致されず
    敵の動きをコントロールするには、主導権を握り、敵にその行動が必要なこと・自然なことであると思わせることです。
  • 微乎微乎至於無形~
    微かな微かな無形に至り、神かな神かな無聲に至る
    良き将の行動は、敵に攻めどころ守りどころを読ませないものです。極めつけは敵に判断材料をあたえません。こちらが主導権を握れば、攻めるも守るも自由自在です。
  • 是以十攻其一也~
    十を以て其の一を攻める
    敵を散らせて味方は集まり、各個撃破のかたちにすれば、敵が多くても戦うことができます。
  • 故形兵之極至於無形~
    兵の極は無形に至る
    究極の軍形は無形です。無形のようにして隙を生じなければ敵は謀ることができません。また、勝利パターンの「かたち」は重要ではなく、それをどの様に運用するか・どの様に運用されたか「本質」を知る事が大切なのです。
  • 夫兵形象水~
    兵形は水に象れ
    うまいやり方は、水のように相手の情勢にあわせて常に味方を対応させるものです。

七、軍争篇(上手い立ち回り)

  • 莫難於軍争~
    軍争より難しきは莫し
    何より難しいのは、相手よりも上手く立ち回ることです。
  • 故兵以詐立以利動~
    兵は詐を以て立ち、利を以て動く
    上手い立ち回りとは、相手を出し抜き、有利な状況で動くことです。ときに散り、ときに集中しながら状況に対応して変化します。
  • 故其疾如風其徐如林~
    其の疾きこと風のごとく(風林火山)
    的確な状況判断にもとづいて的確に動きます。
  • 善用兵者避其鋭氣撃其惰歸~
    其の鋭氣を避け、其の惰歸を撃つ
    的確な判断とは、不利を避け有利な状況で動くことです。相手の有利を避け、不利な部分をつきます。
  • 窮寇勿迫~
    窮寇には迫ること勿かれ
    必死の状況下にある相手は、玉砕覚悟で挑んでくる恐れがあり、予想外の被害を生む可能性があります。

八、九変篇(過信せずに常に状況に対応しよう)

  • ~君命有所不受
    君命に受けざる所あり
    作戦中は何より、無理を避けて有利な場所に身を置くことを優先します。現場にあっては君命すら無理がないか吟味して受けることです。
  • 雖知五利不能得人之用矣~
    五利を知ると雖も、人の用を得ること能わず
    ですから全てを任せるに足る、現場判断に優れた将軍が指揮をとるべきなのです。判断できない将軍は、基本を知っていても応用が効かないので使えません。
  • 故用兵之法無恃其不來恃吾有以待之~
    其の来たらざるを恃むことなく
    攻められないことを期待するのでなく、攻められないような備えを頼りにすべきです。
  • ~覆軍殺將必以五危不可不察也
    軍を覆し将を殺すは必ず五危を以てす
    どんな将軍も完璧ではありません。不真面目であれば罠にハマり、堅過ぎればその特性を利用されます。使い所をよく考えましょう。

九、行軍篇(観察して分析しよう)

  • 孫子曰凡處軍相敵~
    軍を處き敵を相るに
    上手く立ち回るには、自分の置かれた状況と、相手の状況をよくよく観察して分析することです。

十、地形篇(状況を判断して有利に動こう1)

  • ~將之至任不可不察也
    將の至任にして察せざるべからざる也
    地形・状況を判断して的確に動くことは、将軍の重要な責務です。不利を自覚し、何の工夫もなく行動して失敗することは、不可抗力ではなく、将による人災です。
  • 知彼知己勝乃不殆知天知地勝乃可全。~
    彼を知り己を知れば、勝、乃ち殆うからず。天を知り地を知れば、勝、乃ち全うすべし
    自分を知り相手の戦力を知っても、地形・状況による判断ができなければ成功はできません。全てを知ってようやく負けない戦いが展開できるのです。

十一、九地篇(状況を判断して有利に動こう2)

  • ~兵之情主速
    兵の情は速やかなるを主とす
    作戦行動は迅速さが大切です。迅速に動いてこそ相手に察知されずに不備を突くことができます。
  • 夫呉人與越人相惡也當其同舟濟而遇風其相救也如左右手~
    呉人と越人相い悪むも、其の舟を同じくして濟り風に遇うに當たりては、其の相い救うや左右の手の如し(呉越同舟)
    必死な状況下では、敵味方でさえ手を取り合います。味方を必死にさせるには、必死にならざるを得ないように仕向けることです。
  • 是故始如處女敵人開戸後如脱兔敵不及拒~
    始めは處女の如くして、敵人、戸を開き、後に脱兎の如くして、敵、拒ぐに及ばず
    上手いやり方はこのようにします。油断を誘ってそこを迅速に攻めたてれば、相手はどうあがいても防ぐことができません。

十二、火攻篇(状況を判断して有利に動こう3)

  • 合於利而動不合於利而止~
    利に合して動き、利に合せずして止む
    有利な状況でなければ動かず、不利と見れば中止すべきです。国も人も滅んでしまえばオシマイですから、大事を行うに当たっては感情に惑わされず、尚更その傾向を強めなければなりません。

十三、用間篇(情報は全ての要)

  • 不知敵之情者不仁之至也非人之將也~
    敵の情を知らざる者は、不仁の至りなりて、人の将に非ざるなり
    情報収集は行動判断のための重要なカギです。チーム全体が揺らぐような大事にのぞみ、労力や金品を惜しんで情報収集を怠るようなことがあれば、そのような人物は将軍として失格です。
  • 事莫密於間~
    事は間より密なるは莫し
    大切な情報をもたらす間者(スパイ・エージェント)は、何より信頼できる人物を置くべきです。逆に極秘事項を外に漏らすような者は、厳罰に処さなくてはなりません。
  • ~故反間不可不厚也
    反間は厚くせざるべからず
    最も厚遇すべきは、反間(逆スパイ)です。最も濃い敵情報をもたらし、最も効率的に動ける反間を厚遇しない手はありません。
  • 故明君賢將能以上智爲間者必成大功~
    上智を以て間者と為す
    敵情・情勢にくわしい人物を起用して成功をおさめた例は歴史上たくさんあります。行動判断のためのカギとなる情報こそが全ての要であり、情報によって行動することが成功のカギなのです。
関連 孫子全訳

関連 孫子原文の解説